2006年5月24日-26日(環境自治体会議全国大会)

初日

 第14回環境自治体会議指宿会議の初日である。私は当日の朝5時半に出て、羽田から飛行機で鹿児島空港へ飛び、バスを乗りついで指宿駅に11:45頃到着した。指宿は4~5年前に環境基本計画のアドバイザーとして何回か訪れている地である。
 駅から全体会会場までの指宿市が用意したシャトルバスに乗り換え、12時半からの環境自治体会議総会に何とか間に合った。総会は20分ほどで、無事終了。その間地元の人たちによるミュージカルがあったのだが、全体会の打ち合わせでみれなかったのは残念だった。 
 全体会の第1部は14:40からで外国の温暖化対策先進事例のセッションで、ドイツの気候同盟(欧州を中心に1300の自治体が参加)に14年間勤めていて、今はフリーのAlber女史、韓国の朝鮮大学の李先生、シアトル市長の代役でうちの増原くん、それにコメンテータの岐阜県多治見市の西寺市長が加わってのパネルディスカッションだった。私は、今朝になって急に多治見市長の補佐で司会を頼まれ、冷や汗ものだった。何とか大きな失敗はなく済んだが、知り合いから「中口さん今日は元気なかったね。聴衆の人が、あの人暗いねと言ってたよ」と言われてしまった。気候同盟の5年で温室効果ガスを10%ずつ下げていこうという目標を掲げることになったというAlberさんの話、韓国の光州市の再生可能エネルギー計画と数々の具体的プロジェクト、シアトル市が地球温暖化防止をめざした積極的な追加行動を呼びかけ170以上の市長が参加を表明している話は大変興味深かった。
 全体会の第2部は環境泉都における環境対策のセッションで、群馬県草津市長、新潟県湯沢町長、指宿市の田原迫(たわらざこ)市長のパネルディスカッション、でコーディネータは近畿大学助教授(元鹿児島大学助教授)の坂田先生だった。これも興味深い話が聞かれた。

 指宿会議は例年と違い、初日の夜が交流会の日だった。地元の婦人会の皆さんの手料理に舌鼓をうち、すばらしい郷土芸能が披露された。僕は例によって自治体職員の方を中心に、何人かとお話した。まず多治見市長に随行した環境課のS課長とSさんとしばらく懇談したあと、会場をぐるぐる回った。京都府八幡市のK次長(環境保全課長)は初参加。大勢の人が交流会に集っているのに驚かれている様子だった。大阪府交野市からはHさんが参加。31日の環境自治体会議関西地区飲み会の件を口頭で伝えておいた。そして八幡市のK次長を交野市の中田市長とHさんとに紹介した。次に大阪府池田市のUさんとあった。Uさんは課長にちゃんと会った証拠を見せるのが必要だとおっしゃられて、2人でデジカメに収まった。愛媛県内子町のKさんとは、昼の総会後に再来週に私が訪問する時のことについて打ち合わせをした。同じ環境政策係のOさんを紹介された。時期開催地だけあってバス1台仕立てて大挙して参加していらしたのに、交流会ではなぜかあまりお会いできなかった。箕面の藤沢市長とも懇談。北摂環境3兄弟のことに話が及ぶと「2・3年後をみとってください。環境行政を1番にしますから」とおっしゃっておられた。東京で環境行政トップランナーの日野市のK環境共生部長とM環境保全課長と行き会わせた。あと会場内には村山元首相も来ておられた。

 あっという間に交流会は終わり、環境自治体会議のスタッフや私の大学の学生や上智大の大学院生、それになじみの深い皆さん約30人は旧開聞町のログハウスに宿泊。集会室でわいわい飲み会が始まった。私も慣れない英語で、韓国の李先生と懇談した。
2日目

 2日目は分科会。今回は11の分科会があり、どれも1日コースでフィールドワークが必ずついているというのが売り物だった。私はスタッフからの指令で、環境マネジメントの第10分科会に参加した。まず、コーディネータの森下さんのあと特別報告として山本さんのEUの排出権取引とISOの関係の話、八幡市のLAS-E導入によって実行責任者(課長)と市民監査員双方に3年間で意識向上がみられた調査結果の話があった。これに続いて三重県庁が全市町村に補助金を出してISO90%の自治体にとってもらった後の効果実態調査の話、鹿児島県のISO認証取得の話があってお昼になった。
 昼食後フィールドワークとして足湯温泉に
20分ほど浸かる。あと知林ヶ島を展望。足湯と環境マネジメントとは何の関係もないのだが、そこは森下さんがうまくフォローし、14時からの午後の部開始時に山本さんに「足湯の環境側面は?」と尋ね、どんな場所でも環境マネジメントの考え方が取れるとおっしゃった。
 午後の一番目は鹿児島市の簡易版事業者
EMSの認定制度についての話題提供があった。現在無料で認証取得できるのだそうだ。最後は水俣市のISO自己宣言への切り替えによる市民監査制度の話を、市民監査委員会委員長のSさんがされた。相当お年を召しておられたが、かくしゃくとしてとつとつとしゃべられたのが印象的だった。その後、1時間半近くディスカッションの時間があったのは1日がかりの分科会のメリットだろう。多治見の西寺市長が予算査定の際に必ず環境課を同席させ環境の視点を入れること、すべての公共事業で環境配慮チェックシートを書かせ、市民の嘱託職員に実際にチェックしてもらっていることなど、環境重視の行政運営システムについて話された。もうひとりのコメンテータの田中さんは、自治体の政策主体、事業主体、消費主体の3つの側面で、環境マネジメントシステムが政策主体としての側面をいかに取り込んでいるかと言うことを問題提起された。

 今回は2日目が分科会ごとの交流会。東海村のHさんや東近江市(旧愛東町含む合併市町村)のHさんをはじめ、その他の参加自治体、ISO審査員、研究者、市民団体、民間会社の方々と交流を深めた。

3日目

3日目は朝から雨。9:30から10:40まで分科会報告。市職員の方が一晩でまとめたパワーポイントを使って、代わる代わる報告した。後で田原迫市長に聞くと発表者には旧開聞町や山川町の職員もいたそうで、このような大会を機に職員意識の一体化が生まれていくものと感じた。その後指宿宣言(案)が読み上げられて採択され、次期開催地内子町の挨拶と名物のたこを使ったプレゼンテーションがあった。最後に地元小学校の子供たちの童(わらべ)歌と踊り。いつもじーんと来る場面である。感動のうちに第14回環境自治体会議は閉会した。ロビーで田原迫市長とがっちり握手。お礼を述べた。

 その後例によって市長と実行委員長、環境自治体会議のスタッフなどと昼食をとった。最後の楽しいひとときであった。