2004年11月1日・2日

 今日は、二ツ井町のLAS-Eの第2ステージエコアクション部門の監査および第1ステージの維持監査である。久しぶりに町民の監査員5人を含む監査員10人が顔をそろえた。1日目は午後から環境管理事務局の監査を行った。特に問題もなく終了した。
 


翌日は1日かけて、各課、各施設の監査である。5つのグループに分かれて行動する。僕はAチームで、町民で種梅在住のSさんと組んだ。最初の訪問先は、高丘保育園であった。あいにくの雨で、二ツ井町自慢のチャリンジャーを使うことはできず、Sさんの車に同乗させてもらって移動した。
 高丘保育園では、保育に忙しい中、園長さんと環境マネージャーさん、それに二ツ井保育園、仁鮒保育園などのの環境マネージャーの保育士さんにお集まり頂いた。まず、LAS-Eの第2ステージでは、対応が必要な、緊急時の対応と言うことで、灯油のタンクを見せてもらった。流出防止や転倒防止策が適切に行われていた。それからごみ箱の目視を行った。生ごみは農家の人に飼料として引き取ってもらっているそうで、高丘保育園のみが行っているすばらしい試みである。事務室の中はきれいに整頓されており、普段は電気もつけないとのこと。感心したのは裏紙の分別である。紙の大きさに応じて棚にきれいに納められていた。使用済み封筒やメモ用紙入れも手作りの入れ物で工夫されて、ほほえましい。園長さんは地球環境を守るために、職員と園児と保護者の方が心を一つにしてできることをやっていると、力を込めておっしゃった。他の保育園でも保護者の方が可能なときは自転車で送迎するようになったとか、効果が現れているようだ。一般の保育士さんや調理師さんにもインタビューしたが、それぞれの役割を認識しできることをなさっているので、感心のしっぱなしだった。




  次に訪問したのは二ツ井中学校で、町に唯一の中学校である。校長先生と事務長さんが応対してくれた。まず、全館暖房用の重油タンクの注入口や温水発生用のボイラー室を見に行った。配管の破損がないか圧力検査など定期的に行われているそうだ。各部屋の個別暖房用の灯油を入れるためのタンクはちょっと危なっかしいような気がしたが、灯油を入れるときは用務員さんが立ち会いし、万一こぼれたときの手順も確立しているようで納得した。次にこれも弟2ステージになってからの監査の対象である環境教育であるが、総合的な学習の時間で1年生は自然体験をしており、3年生は自分のまちについて調べる自主研究をしているとのことだった。自主研究の成果がちょうど教室に並べられており、それを見せてもらった。チャリンジャーのこと、米代川のこと、二ツ井町のごみのことなど、環境に関することを取り上げた生徒さんが多かった。これらの生徒さんは環境への感心が以前より高まったと言う。校長先生のお話ではまだ模索段階ということだが、環境問題を取り上げられているのは嬉しい。1階の廊下は電気が消されていてかなり暗い。予算が削られたのであまり使わないところはできるだけ消すようにしているそうだ。職員室のごみの分別も見せてもらった。ごみ箱がきれいに整理されていたが、可燃ごみの中にリサイクルできそうなごみが若干混ざっていたのがちょっと残念だった。授業中であったが職員室にいた先生にもSさんがちょっとインタビューした。ファイルなどは何年も使い回しているとのことであった。


 さらに中学校に隣接する給食センターへ行った。ここでは町の小中学校の給食を一手に作っている。センター長さんと給食の先生が応対してくれた。第2ステージの安全・安心対策として、まず食器について伺った。環境ホルモン溶出の危険のあるポリカーボネート製の容器は昭和54年の設立当初から使っていず、すべてポリプロピレン製だそうだ。能代山本地域の食材もできるだけ使うようにしているとのことである。調理の燃料はA重油とガスであるそうだが、ボイラー室は専門技師2名で交代で管理しているそうだ。事務室で最も感心したのは電気である。3列ある電気のうち、真ん中の1列のみつけるようにして両端の2列はつかないようにしてある。さらに感心したのはセンター長さんが公務出張の際はチャリンジャーを利用しているとのこと。着任してからもう500キロも乗ったそうだ。


 雨が降りしきる中、Sさんの車で役場に12時過ぎに戻った。会議室には他の班の人も既に戻っており、監査は順調に進んでいるようだ。
 

 午後からは本庁舎内の監査である。まず生活環境課。ここは第2ステージのエコアクション部門のであげている環境施策のかなりの部分を所管しているところで、今回のハイライトであり、1時間の大部分は施策に関する質問に費やした。合併処理浄化槽の助成、野焼きや騒音、カラス、犬の糞、スズメバチ対策などから、防災対策、ごみの減量・適正処理対策など矢継ぎ早に聞いていく。Sさんにかなりの部分質問してもらったが、町民で日頃感じている問題だけに質問のしかたが上手である。課長さんはほとんどの施策についてスラスラと答えられたし、証拠資料も比較的すぐ出てきたのでスムーズに進み、第1ステージの監査も少し行うことができた。
 
  最後の監査は21創造課である。二ツ井町特有の名称だが他の自治体の企画広報部門であり、環境管理事務局を担当する課でもある。ここは500万円を超える事業を1つ実施しているので、これも第2ステージで加わった項目である環境配慮チェックシートの記入状況を確認した。公園や遊歩道の管理もこの課の担当なので、それについても尋ねた。環境マネージャーさんが非常にしっかりしてとんとんと質問が進んだので、Sさんが一般の職員の方3名に2〜3問ずつインタビューした。環境目標と研修内容についての答えに時間がかかったため、運悪くこの部分の評価は△になった。環境管理事務局のあるお膝元だからちょっと厳しめでもいいかな、と思った。
 
  ほぼ予定の時刻である15時には監査が終わりチームミーティングのため会議室に戻ったが、他のグループもだいたい同時刻に戻ってきて整理に取りかかった。Sさんと確認し合いながら、各項目の評価や各職場の良いところなどの所見を整理していく。それが終わると各グループに項目別職場別評価結果の一覧表の白紙を回して、○△×を記入してもらう。それをもとに、△や×をつけた項目について、なぜそういう評価になったのかを各グループから報告してもらい、本当に△や×でいいのか、評価のすりあわせを行った。これに結構な時間がかかった。出先で紙の分別BOXを置いているかどうかなど、事務局側に確認しないと評価できないものもあった。個別項目・職場の評価が済むと全体としてのLAS-Eの項目ごとの総合評価を行った。8割の職場で○の項目がほとんどで、△が2つついただけだった。特に第2ステージエコアクション部門の項目はすべて○となった。16:30から開始予定のクロージングミーティングは20分ほど遅れて始まった。環境管理責任者である助役、環境管理事務局のHさん、
 
  Aさんの同席のもと、監査結果の報告をし、10人の監査員がそれぞれ監査の感想を述べた。助役さんもおっしゃっていたが、5人の町民監査員の皆さんは、時に厳しく、時に温かい目で役場の環境の取り組みを見ていることがよくわかった。LAS-Eの住民の方による監査方式を取り入れてほんとに良かったと思う。


2005年9月7日

今日は年1回の全職員を対象とした研修のため、二ツ井町役場を訪れた。本来飛行機で日帰りの予定だったが、台風14号が日本海を進んでおり欠航になるのを恐れ、前日に新幹線で秋田に入り泊まっておいた。秋田7:51発奥羽線普通電車で二ツ井に9:10着、LAS-Eの担当で21創造課のAさんが駅まで迎えに来てくれた。
 研修は午前10時からと午後1330分からの2回で、1時間半の時間をいただいた。LAS-Eに関してはもう何回も話しているので、今回は「地球温暖化防止と自治体の役割」と題して話をさせていただいた。現在の政府の動きや、秋田県内の市町村の2000年の1人あたりCO2排出量や二ツ井町の部門別内訳を示してから、温暖化防止対策の先進事例についていくつか紹介した。研修には133名の職員のうち、合わせて80名弱が出席した。
 研修終了後、Aさんと企画情報係長のNさんと打合せをして、今年度の監査の日程を11月第3週にすることに決めた。
 それから二ツ井町は20063月に能代市と対等合併し、新能代市となる。新市の人口は65千人(能代市53千人、二ツ井町12千人)、面積は426.7ku(能代市245.3、二ツ井町181.4)である。今年3月に策定された新市建設計画におけるまちづくりの方向性として、合併10年後には日本の「環境首都」となるよう取り組むと謳われている。また新市の将来像は「輝くみらいへ 水とみどりの環境のまち」であり、主要施策の1番目に「母なる自然を守り育てるまち」と謳われている。また新市の行政組織では、7つの部と二ツ井総合支所などが置かれ、環境行政は単独で「環境部」が設置される力点が置きようである。さらにその環境部は今の二ツ井町庁舎に置かれるそうで、まさに旧二ツ井町は新市の環境行政の拠点となる。
 新市は環境自治体会議へ入会し、また現在二ツ井町のみで認証を得ているLAS-Eは、新市の範囲に広げて継続していくことを検討している。この日の打合せで、新市に広げて認証を得るためには、いつ頃どんな準備が必要かを環境自治体会議から提案することになった。
 帰りもAさんが大館能代空港まで車で送ってくれた。飛行機は心配していたが欠航にならなかったが、羽田空港混雑のため定刻を15分遅れて18:20に離陸した。


2005年11月16日

 今日はLAS-Eの監査の2日目である。僕は1日目は遊佐町での研修のため欠席した。1日目は昨年度の独自目標の監査と事務局の監査であった。独自目標は数値目標の定められた延べ31項目のうち、×が6項目、△が1項目、○が24項目であった。×がついたのは施設(出先機関)における事務用紙使用量、資源化率、電気使用量、灯油使用量などで、施設の統廃合や当初の推計による目標設定が実態に合わなかったことなどが理由だそうだ。△は町全体の可燃ごみ排出量を前年比マイナス5%にするというもので、目標達成はできなかったが編ラスことは出来たということで△になった。目標達成した項目の中には目標値を大きく上回ったものもあり、努力のあとが見られたそうだ。
 
話は戻って2日目の監査であるが、僕は町民監査員のOさんと組んで、まず町長の監査からスタートした。丸岡町長は忙しかったので、総務課の監査を先に始め、その合間に実施した。町長はご自身の役割・責任や、環境管理委員会でどのような報告を受け、どのような指示をしたか、スラスラとお答えになった。また今力を入れている環境政策として、環境産業を育てていくこと、すなわち環境に配慮した米作り、水質浄化剤の開発、白神酵母など白神山地無数の遺伝子資源の活用、新設した総合体育館の地元材利用や地下水冷房の実施などあげられた。
 総務課はLAS-E第2ステージの非定常時の対応項目として、諸設備の定期点検を担当している課である。灯油タンクの加圧試験などを実施記録がきちんとファイリングされており、また産業廃棄物として発生する廃油のマニフェストの各票も保管されていた。また緊急時の対応として、今年は防災訓練を臨機応変に対応できるよう11月4日に時間を教えないで実施したそうだ。そのほかの項目もよく取り組んでおられたが、9月の環境管理委員会の記録が見つからず、1つ△がついた。
 
 収入役室もよく取り組まれていた。支払いの伝票をできるだけまとめて書くようにするなど独自の工夫も見られたが、独自目標について探すのに1分以上の時間がかかってしまい、1つ△がつてしまった。
町民課の課長は去年まで監査員だったI♀さんであり、二ツ井町役場唯一の女性課長でもある。監査員だったので慣れたもので、てきぱきと答えてくれた。環境マネージャさんや一般職員の方の対応も完璧に近かった。
午後の最初の議会事務局は局長さんが出張でおられず、補佐さんとマネージャさんの2人だけの監査となったが、取り組みはよくなされていた。

 次に第2ステージの難関のひとつである産業振興課を回ったが、課長が出張でいないにも関わらず、よく取り組まれていた。産業振興課では林道整備事業などを抱えている。今年度は11月現在500万円以上の工事は1件だけであったが、設計段階と施工後の環境配慮チェックシートはきちんと記入されていた。また、工事請負業者に対し、残土の飛散対策や在来の木材を切らないよう配慮を口頭で要請しているそうだ。産業振興課内ではまた、特別養護老人ホームよねしろのふれあい公園内にBGF(バイオ・ジオ・フィルター)水路を設置している。これは秋田県立大生物資源学部との協力で昨年6月に設置したもので、中には特産のゼオライトやペレット化した木炭を入れ、合併処理浄化槽からの排水を浄化している。またその水路で栽培したパピルスを切石小学校の児童が刈り取って持ち帰り、紙すき体験をして、資源の有効利用について学んでいる。この取り組みに◎をつけた。町長の話でもBGFの話が出ていたが、八郎潟の水を浄化する実験も始めているそうである。また産業振興課に関する独自目標として、分収林の管理面積、杉の里まつりの参加者数、自然環境学習参加者数を設定しているが、代理で応対してくれた課長補佐の口からスラスラとその3つが出てきて、LAS-Eがよく浸透していると感じた。


 14:30頃にはC班所定の監査を終了し、個別所見の記入も15;00前には終了した。他の4つの班も15:00過ぎには戻ってきていたが、個別所見の記入に16:00近くまでかかった。設問NO別課・施設別判定一覧表の記入を一足先に終え、それを監査員に配った。△×や◎をつけた箇所について、主任環境監査員の多比良くんの進行で班ごとに報告し、判定を微修正した。次にLAS-E項目ごとの総合判定をしていったが、B103の環境目標の認識・理解の項目だけが達成率76%だったので△にしようということになった。その時点で16時45分頃になっており、総合所見をまとめている時間がなくなったので、クロージングミーティングの場で監査員全員にトータルでの感想を言っていただき、それを後で多比良くんがまとめることになった。環境管理責任者の工藤助役と担当のAさんを会議室に招いて、監査員が順番に感想を述べていった。その内容は以下の通りである。

町民監査員S♀さん:前回廻ったところを今回も廻らせてもらったが、前回より取り組みが進んでいるのがよく見えた。ただ、本庁舎外のところでは、取り組みの格差が見られたので、その点は改善していただきたい。
職員監査員K♀さん:監査の回を重ねるごとに取り組みが進んでいる。環境マネージャを中心に頑張っているのが分かった。
職員監査員S♀さん:本庁舎の中と外とで意識の差がある。何のためにLAS-Eに取り組んでいるのか、まだ理解してない職員が外には居るので、研修が必要ではないか。あと、小学校で合併したら取り組みが能代市の小学校にも拡がるのかどうか聞かれたので、早く教えてあげて欲しい。
町民監査員S♂さん:3年目ということで毎年良くなっている。日々の努力がなされている。気になったのは、本庁以外の施設でごみ箱の表示がなかったり、統一されていなかったりしたことだ。事務局で表示シールを配ってあげて欲しい。
町民監査員O♀さん:本庁舎内だけの監査だったが、年とともに良くなっている。環境マネージャだけでなく、一般職員にもよく浸透していると感じた。
町民監査員I♀さん:保育園では園児にも取り組みが浸透している。お便りを1世帯に1枚にしたり、室温を21度に保つようにきめ細かな配慮がなされていた。また給食センターでは節電の細かい工夫がされており、また水の残留塩素のチェックをしたり、農薬を使わない地元の食材を使うなど独自の工夫がなされていた。求められている以上のことをしているこれら2つの施設は素晴らしいと感じた。
職員監査員N♂さん:出先で職員が一人しかいないところなど、情報不足と見られ、取り組みレベルが少し落ちるところもあった。
主任監査員多比良くん:監査を受けるのは初めてではないので、できなかったところは重く受け止めて欲しい。取り組み内容を確認できる手引書、マニュアルのようなものを作る必要があると感じた。
 これらの感想に対し、環境管理責任者の工藤助役からは「来年3月21日の合併後、環境部ができ、環境首都を目指すことになる。環境は重点項目である。時間はかかるかもしれないが、LAS-Eも全市に取り組めればと思っている。今回指摘を受けた施設については、事務局から連絡し早急に対応させたい」との発言があった。



2005年12月1日

今日は第1回二ツ井町循環型社会推進ワークショップ(研修会)にアドバイザーとして招かれた。これは秋田県のゼロエミッション地域確立支援事業で、県のねらいは、各地域の資源循環の輪を構築し、リサイクルネットワークの活性化を図り、全県に波及させるというものである。二ツ井町は隣の能代市と並んで、そのモデル地域として選ばれた。能代市では既に9月から能代市循環型社会形成市民懇談会が立ち上がっているそうである。二ツ井町におけるメンバーは、町内在住・在勤の方7名と秋田県庁、町の産業振興課と21創造課、そして事務局の生活環境課から構成される。
 今後の予定は、今日の町の取り組み状況などの説明の後、12月21〜22日に八戸市と弘前市の視察、1月20日に二ツ井町での実施の可能性の検討、2月10日に前回の続きと循環型社会に関する研修会、2月下旬から3月上旬にかけて研修会としてのまとめを行うそうである。
 工藤助役の挨拶の後、秋田県庁生活環境文化部環境あきた創造課のT主幹の趣旨説明があり、自己紹介の後、座長に二ツ井町連合婦人会会長のIさん、副座長に二ツ井小学校教頭のIさんが選ばれた。生活環境課からの主旨および進め方についての説明の後、循環型社会と二ツ井町と題して私が40分ほどパワーポイントを使って話題提供をさせていただいた。
 前半は全国のごみ排出量やリサイクル率の推移を紹介した後、環境自治体会議の年次報告書作成のために会員自治体から提出してもらっているデータを元に、二ツ井町は2000年までは1人1日あたりごみ排出量が全国平均や会員自治体平均を上回っていたのが、2001年の指定袋制導入・資源ごみ分別回収によって平均値を下回るようになったこと。リサイクル率も2000年までは全国平均以下だったものが2001年以降全国平均を上回るようになったことなどを紹介させてもらった。後半では循環型社会の取り組み事例として、会員自治体である熊本県水俣市、鹿児島県上屋久町、宮崎県綾町、愛媛県内子町などの取り組みを紹介させてもらった。その後役場の21創造課のAさんと生活環境課のMさんから、二ツ井町のLAS-E(環境マネジメントシステム)や自転車のまちづくり、BGF(バイオ・ジオ・フィルター)水路の試験などの環境政策が紹介された。
 その後フリートーキングとなり、委員の方々からLAS-Eの地域全体への波及、BGFの実用化、森林によるCO2吸収量の数値化、学校での総合学習における環境を一層扱うことなどの意見が出た。
 事務局は大変だろうが、二ツ井ならではの循環型社会のイメージがどのように描かれていくのか、今後が展開が期待される。







2005年12月21日・22日

 今日は二ツ井町循環型社会推進ワークショップの視察で八戸市を訪れた。八戸市は青森県の南部にあり人口25万人、工業と水産業の発達した都市である。前市長が海洋立市、教育立市、環境立市の3つの立市と環境・エネルギー特区プロジェクトなど10のプロジェクトを推進していた。
 なかでも注目されるのは、マイクログリッド(分散型電源ネットワーク)による八戸地域再生計画である。これはNEDOが実施する新エネルギー等地域集中実証研究で、別名「水の流れを電気で返すプロジェクト」と呼ばれる。下水終末処理場で発生した汚泥からメタンガスを発生させ、それで発電をしてその電気を全長5.4kmの自営線で市内の4つの小中学校と市役所などに送るというものである。さらに施設には太陽光発電装置や風力発電装置もつけられており、下水終末処理場には木くずボイラーもあり、すべて再生可能エネルギーである。
 これらの施設の電力需要はトータル603kWで、電力供給量は610kWなので、東北電力の商用電力を買わなくても需要をすべてまかなえる計算である。自営線が故障すると東北電力の電気に4秒で切り替わるのだそうだ。
 これらのために3年前からバイオガスエンジン3基、木くずボイラ、太陽光発電装置4基、風力発電4基、自営線の敷設などを約26億かけて整備し、2005年10月に稼働を開始した。ランニングコストは設備の運転委託が主で年間1億かかるそうだ。NEDOの実証実験はあと2年間で、その後どうするかが問題である。そこで市内の主要事業者が八戸市市民エネルギー事業化協議会を設立し、市民エネルギー会社を設立しその受け皿になることを検討しているそうだ。
市民エネルギー会社が成功するには、東北電力が供給する電力よりも安く電力を供給できるのか、ランニングコストを低く抑えられるかなど課題も多いと思われるが、再生可能エネルギーを地域に市民が供給する試みとして今後に期待したい。

 マイクログリッドによる八戸地域再生計画

          イメージ図 出典:首相官邸地域再生本部ホームページ

 市役所と下水道事務所でお話しを伺い施設を見せていただいたあと、CROSS(循環型社会創造ネットワーク)という2003年に設立されたNPO法人の事務所に伺った。商工会議所の青年部出身者が中心になって設立した団体だそうで、環境・エネルギー特区サミットのフォーラムの運営委託、エコの旅ナビ事業、環境家計簿普及啓発事業など意欲的に取り組まれていた。

 翌日は八食センターという、商業集積施設を訪問した。ここは鮮魚店を中心に60店舗、450名の従業員が働いている。魚のアラを水産加工団地の水産会社へ資料の材料としてリサイクルしてきたが、今新しい試みが始まっている。それは水素生成菌(シロアリ菌)を使って、魚のアラと隣の中央卸売市場から出る野菜くずを発行させ、水素ガスを生成し、燃料電池の燃料として用いて発電や熱利用を行おうというものである。東北経済産業局の補助事業で2004年度から行われた。実際にそこに装置はなく、札幌にあるベンチャー企業に魚のアラを送って試験しているそうである。予定では436tのアラで5万kWの電気を起こそうとしたが、実際は1200tで電気は予定の5分の1という結果で、実用化にはまだまだ改良が必要だそうである。

直線上に配置
秋田県二ツ井町 訪問記
↑総務課のごみ箱
消化器の配置図→
廃油のマニフェスト↓
一般職員の方のメモ用紙利用(収入役室)↑

←町民課での監査

一般職員の方のファイルの再利用(町民課)↓
←窓の開閉実演(議会事務局)

↓環境配慮チェックシート(産業振興課)

熊の出没対応記録(産業振興課)↓
   ↑消化ガスタンク(右)

←バイオガス発電機(コジェネ)

 ↓小中学校などへ送電される自営線

↓八食センター