2003年8月18日

宮崎空港から21:18発綾行きの宮崎交通最終バスにのった。終点の綾待合所でタクシーに乗り換え、10分ほどで宿泊地の綾川荘に着いた。綾川荘に泊まるのは、今回で2度目。綾北川の川べりにあって、川のせせらぎが聞こえる抜群の環境である。名前からすると古そうな旅館という雰囲気だが、設備は大変新しい。太陽光発電設備もつけている。和室だけでなく、洋室シングルもあり、今回もそっちに泊まった。風呂は温泉で、広くて気持ちいい。町の人も入りに来る。
2003年8月18日
今日は併任している大学の学生をつれて、町の有機農業開発センターで仕事だ。今回は有機農業の効果を数値的に集計するための作業を行うのが目的だ。8時に宿を出発。交通手段は自転車。綾川荘から5分ほど下ったところにサイクリングターミナルがあり、そこで自転車を借りた。4時間450円で1時間ごとに延長料金がかかるが、精算時に仕事だと言ったら、基本料金だけにしてくれた。
自転車で15分ほどで、町の中心部に出た(以外と近い)。この時間があったので、有機農産物を販売している、「ほんものセンター」をのぞいてみたら、町民の方が軽トラックで横付けして、とれたばかりの農産物を運んできている。まだ朝の8時半なのに、もう買っている人もいる。
9時から11時頃まで有機農業開発センターで仕事し、11時から役場に戻って(役場はほんものセンターやバスの待合所などがある町の中心部にあります)、町長と面談。前田町長は忙しそうでしたが、にこやかに対応していただいた。
職員の方とも少し打ち合わせをした後、12時過ぎに役場の目の前の食堂で学生と昼食をとり、再び有機農業開発センターへ。18時ごろまで仕事をした。
18時すぎ、ほんものセンターで桃と里芋を買った。ビニール袋が露でくもっているのは取れたての証拠だろう。朝見たときにトマトがうまそうだったのだが、もう売り切れていてなかった。ついでに、はす向かいにあるAコープで買い出しをした(この一角で大概のことができるので結構便利だ)。
学生と別れて、田んぼやビニールハウスのなかを自転車をこいで宿へ。途中アイガモ農法をやっている田んぼが結構あった。アイガモはそこらじゅうでガアガアないているけれど、稲の中に隠れていてなかなか姿がみえず、写真を撮るのに一苦労した。
田んぼの上をトンボが行き交っているのは驚き。うちの周辺じゃこんなことはない。きっと小川や水路が農薬などで汚れていないからであろう。さすが有機農業のまち、綾町である。
2003年8月18日
昨日の作業はまだまだ続くのだが、今日は午後から大学で会議があるので、やむをえず学生に任せ、朝6時に宿を出た。酒泉の杜、大吊り橋など、まだ見ていないところも多いのだが、次回にとっておくことにする。サイクリングターミナルで昨日から自転車を借りておいたので、それにのってバス待合所へ。自転車はほんものセンターに乗り捨てができるのだが、朝早いので無理かと思ったが、前日サイクリングターミナルの職員さんがその旨断っておいてくれたので借りることができた。融通が利くのは大変うれしい。昨日と違う道を通ると、途中せせらぎや水車があった。
ほんものセンターの裏に自転車を止めておく。その前に、泉がある。名水百選で選ばれた?おいしい水で、遠くからポリバケツを持った人が汲みに訪れるという。この日も朝早いのに汲んでいる人がいた。
6:30発の宮崎空港行きのバスに乗車。途中から部活動?の高校生が何人か乗ってきた。途中宮崎市内の大宮高校の前でおりた。
<後日談>
残してきた学生は作業が難航し結局金曜日まで綾町にいて作業した。作業は職員の方をはじめ研修に来ていた高校生まで手伝ってくれたそうです。また酒泉の杜、大吊り橋など学生を車で案内してくれたそうで、さらに土曜日には空港まで送ってくれて日南海岸方面の定期観光の切符まで買ってくれたそうです。本当に何から何までお世話になりました。

綾町役場
綾町観光案内
地域情報日本政策投資銀行)

2004年8月9・10日

今回の綾町訪問の目的は2つある。ひとつは大学の学生とともに一昨年から続けている綾町の自然生態系農業の環境保全効果(有機農業の環境保全効果)に関する研究を続けるために、有機農業開発センターを訪れること。もうひとつは役場職員を対象とする環境マネジメントシステム(LAS−E)に関する研修を行うためである。
 10:00発のSNA(スカイネットアジア航空)便で宮崎に飛び、多比良くんが空港でレンタカーを借りて車で綾市街に12:30頃着いた。役場前のうなぎ屋で昼食をすませ、14:00頃から環境マネジメントシステムの事務局である企画財政課のNさんと打合せをした。打合せは16:00頃には終わったので、照葉樹林の大吊り橋を見に行った。これまで綾にはバスで行っていたので、バスの通っていない吊り橋へ行くのは5回目の訪問で始めてである。車で役場から山あいの道を10キロ弱走って着いた。結構人が来ている。入場料を払わなければならないが、さすが噂に聞く吊り橋だけあって雄大である。下を覗き込むと怖い。しかしバックの照葉樹林があってこその吊り橋である。改めて照葉樹林も守った郷田前町長をはじめとする綾町の人々に敬意を表したくなった。照葉樹林の中をハイキングできるようになっているが、日暮れ近かったし、明日の研修のパワーポイントがまだできていないので、早々に引き上げて吊り橋の横にある資料館を覗く。派手さのない素朴な建物で、照葉樹林にマッチしていた。
 翌日、8:30に有機農業開発センターを訪れた。有機農業開発センターは町の農林振興課の施設だったが、本体の農林振興課が今年4月から有機農業開発センターの建物に移ってきて合体した。昨年センターの所長だったMさんは、今年度から農林振興課長と所長を兼務している。そのためか非常に忙しそうで、今回も宮崎で打合せがあるところを無理を言って朝一番で時間を取ってもらった。今年卒業研究のテーマとする芝浦工大4年生のTくんが、やや遅れてやってきて合流した。
 昨年までの研究では、綾町で生ごみや家畜糞尿を堆肥化して使っていることで、化学肥料を使うよりも5割もエネルギー消費やCO2を削減できていることがわかったが、今年は農作物を栽培し収穫するまでのエネルギー消費量を推計したいのと、収穫された農作物を綾町民がどの程度食べているかを調べることで、地産地消がどの程度実現できており、農作物輸送にかかるエネルギーを節約できているかを調べたい。そのための調査方法についてアドバイスや協力をM課長にお願いするのが目的である。農家対象の調査についてアドバイスをいただき、さらに町民対象の調査については企画財政課のM課長(こちらもM課長)に相談すると良いとアドバイスを受ける。昨日ご挨拶したばかりだ。
 有機農業開発センターを10:30で辞し、役場横のほんものセンターへ。綾産の農産物を求める人で相変わらず賑わっている。お目当てはこの2階にある観光案内所と併設されている喫茶店の野菜ジュースであるが、なんと2階に行く階段は封鎖されている。店の人に聞くと向かいの建物に移ったという。向かいの建物の前より少し開放的な空間になっていた。子供の時から野菜ぎらいだった僕でもここの野菜ジュースは大好きで、まさに「ほんもの」の味である。ここから企画財政課のM課長に電話し、ちょっと相談があるので時間を取ってくれませんか」とお願いしたら、すぐ来ても良いとおっしゃった。
 企画財政課のM課長は快く迎えてくれ、町民に対するアンケートについては水を守る会代表のNさんが町内で環境保全活動をやっているので頼んでみたらという。今日Nさんにお会いできませんか、と言ったら「すぐ役場に来てくれ」と電話してくれた。お会いしてみて、なんだ、NさんはLAS−Eの目標設定チーム、監査チームの町民委員としてお願いしていたので、面識があったではないか。Nさんは綾町女性のつどいの代表もやっており、町内22地区の主婦にお願いすることはできそうな話だった。正式なお願い文や調査票を後日作成しM課長を通してお渡しして検討してもらうことになった。この手の調査をやるのにはいろんな段取りを踏まなければならず時間がかかるものだが、半日でしかもアポなしでここまで話が進んだのはとてもありがたいことである。良い研究成果を出して綾町や綾町民の皆さんに還元したいと思う。
 役場向かいの大衆食堂で昼食を取り、学生Tくんはここで町内見学のため別れる。13:30からは約1時間半、役場3階の会議室で職員研修をしたが、参加者が20名程度とやや寂しかった。この後、多比良くんが堆肥工場を見たいというので、企画財政課のNさんに案内してもらった。16時頃着いたので1日2回の生ごみ搬入は終わった後だった。ここで企画財政課のNさんが、堆肥工場建設時の担当者だったことが判明。僕は見るのは2回目だが、古い堆肥工場から現在のものに建て替える経緯などを説明してくれたので有り難かった。
 19:40のSNA便で宮崎空港を出る。ちょうど高校野球を中継しており、地元宮崎の佐土原高校が勝ったようだ。僕が訪問した訪問したときに試合をしている地元の県は必ず勝つというジンクスは生きている。

2004年11月8日

今日から2泊3日で、綾町に行く。1日目の午後と2日目の午前は、4件の農家にお伺いする。一昨年から始めている、有機農業の環境負荷低減効果に関する研究で、有機農業の農作業にどれくらいの燃料を使っているかをお尋ねするためである。10時発のSNAで羽田を出て、宮崎空港でレンタカーを借りた。運転するのは今年これをテーマに研究するT君である。目的地を綾町役場に設定し、ナビの指示通りに進むのだが、タイミングが微妙にずれていて文字通り右往左往しながら、1時過ぎに綾町役場前に着いた。役場向かいのうなぎ屋さんで昼食を済ませ、最初の訪問先Hさん宅に向かった。「尾立」という集落なのだが、ナビでは場所がわからない。付近の人に聞くともっと下の方の育苗センターの近くだという。やっとのことで育苗センターを見つけたのだが、周囲には家がなく全くわからない。育苗センターから出てきた車を捕まえて再度聞こうとしたら、乗っていたのはなんと、今回の農家を紹介して頂いた、役場の農林振興課のM課長(兼有機農業開発センター長)だった。場所を丁寧に教えてくれ、他の場所もわかりにくいから後で寄れば住宅地図をコピーしてくれると言う。大変助かった。
ほどなくHさん宅が見つかったが、Hさんのお父さんの家だった。息子の家は向かい側で今、畑に出ているという。しかしほどなくHさんが戻ってきた。Hさんは福岡の大手企業に勤めていたそうだが、そこを辞めて実家に戻ってきて農業を始めたそうだ。事前に送っておいたヒアリング調査票に沿って、農作業の種類ごとの1ヶ月のだいたいの燃料費を聞いていった。それから農地や農作業に使うトラクターや小型管理機などの農機具を順番に見せてもらった。こちらは素人なのだが親切に教えてもらった。
次の訪問先はIさん宅である。IさんにはT君が何度電話してもつながらないのだが、時間は約束しているし、Hさんに場所も教えてもらったのでともかく行ってみることにする。山の奥へそろりそろりと入っていく。途中、斜面で農作業している人がいたので、Iさんのお宅はどこか聞くと、それがIさんの奥さんだった。息子さんも一緒に農作業をやっている最中だった。Iさんの奥さんはヒアリング調査票に記入して待っていてくれた。元は東京の赤羽に住んでいたそうだが、綾町に移り住んで有機農業を始めたそうだ。畑では実にいろいろのものを作っており、ほんものセンターなどへ出しているそうだ。手押しのマルチ被覆機など農機具も見せてもらった。
今日の最後の訪問先のKAさん宅は17:30の約束なので、山を下って有機農業開発センターまで戻り、M課長に住宅地図にKAさん宅に印を付けてもらう。町の堆肥センターの近くのようだ。もう暗くなった山の中を進むと、それらしい一軒家を発見、ブザーを押すと奥さんが出てきて、まだ仕事から戻らないという。中に入って待たせてもらうことにした。Kさんは別の仕事の傍ら農業をやっているようで、今は奥さんと二人だけで住んでいるようだ。ほどなくKAさんが戻ってきて話を聞くことができた。奥さんがお茶を出してくれ、しきりに大根の漬け物を勧める。漬け物は苦手なのだがせっかくだからいただく。Kさんがほどなく帰ってきて話を聞くことができた。おみやげにミカンまでもらった。今日はこれで終わりである。いつもの綾川荘は満室だったので、その下にあるサイクリングターミナルに泊まる。
11月9日(火)
今日は朝9時にKIさんの奥さんと畑で落ち合うことになっている。場所は昨日、M課長に地図に印を付けておいてもらったのだが、だだっ広い畑の中では場所がなかなか見つからない。ハウスで作業している人に聞いたら、向かいの畑ですよと言う。KIさんは居なかったが、しばらくして現れた。KIさんは結構大規模にやっているようで、今までJAに出していたが、コープとの契約栽培を始めたそうである。畑を一通り見せてもらった。
午前中はまだ時間があったので、ほんものセンター向かいの喫茶で、例によって野菜ジュースを飲みながら、T君に作業の指示をする。T君はほんものセンターで有機農産物でできた弁当を買って、別の集落の調査に向かった。僕は向かいのいつもの食堂で昼食を取った。綾牛鍋うどんを注文、これが結構いける味だった。
午後からは、綾町初のLAS-E第1ステージの監査である。多比良くんが13:30ごろ到着、町民監査員のNさん、Mさん、Oさんと役場職員のNさん、Mさん、Aさん、Iさんと、今日の監査メンバーが揃った。それにオブザーバーとして長崎大学のEさんが駆けつけてくれた。まず助役と環境管理事務局(企画調整課)の監査を全員で行ったが、特に問題はなかった。次に本庁舎と少し離れた健康センターへ急行した。健康センターでは裏紙や封筒利用など細かい配慮がなされていて大変良かった。次に訪れたのが中央公民館の中にある教育委員会で、ここは有名な自治公民館活動の拠点である。学校教育部門と生涯教育部門で部屋が分かれており、環境マネージャーのいないほうの部屋の職員は独自目標について答えられないなど一部認識不足が見られたのが残念だった。
役場本庁舎に戻り、町長のインタビューの予定だったが、町長はまだ出張から戻っていないので、数人で待つことになった。6時すぎてから前田町長のインタビューを始めた。町長とは今年5月の環境自治体会議いいだ会議でお会いして以来である。多少混乱が見られたものの、何とか会議で指示したことを思い出して頂いて事なきを得た。
11月10日(水)
今日は4つのグループに分かれての監査である。町民監査員はKZさんが加わって4人になった(全員女性)ので、各グループ1人ずつ町民監査員が居ることになる。僕は町民で農業をしているOさんと、町職員のMさん(女性)と3人で回った。このときわかったのだが、Mさんの実家は昨日時間が合わなくてお会いできなかったHさん宅だという。ヒアリング調査票を送れば後で実家に頼んで記入してくれるという。偶然とは恐ろしいものだ。
最初の監査先は、農林振興課(兼有機農業開発センター長)である。またまたM課長へのインタビューである。特に問題もなく終了した。午後に行ったのは中坪保育所である。園長さんはとても熱心であり、保育士さんの意識も高かった。ここは3個所ある保育園の昼食を調理する調理場が併設されている。各保育園で余った食べ残しを集めて来る。その量はポリバケツ一杯だけであり、その量の少なさには驚いた。また園児の利用する水道の蛇口を閉めやすいような器具を取り付けて、節水に努力しているのには感心させられた。
本庁舎に戻って、環境管理事務局のある企画財政課の監査を行った。ここでは環境影響のある事業の情報公開が心配だったが、年度初めの広報で公共事業のリストを全戸配布し、さらに地区別懇談会で周知しているとのことで申し分なかった。役場と地区の自治活動が一体となった綾町ならではの取り組みである。本庁舎のごみ箱も見たが、LAS-Eに取り組む以前は再生可能な紙だらけだった可燃ごみ袋にはほとんど紙は含まれていなかった。また生ごみは役場の敷地内でコンポストされていた。環境への取り組みが確実に進んだことをまさに実感した。
どの班も監査は順調に進み、早めに会議室に戻って監査結果のまとめをした。判定結果の整合を取るためのチームミーティングでも町民監査員の方が積極的に発言して結果の整理が進んだ。研修の欠席者への伝達や環境方針・目標の理解が不十分なセクションが複数みられたが、全部門を通じてはおおむね良かった。
有機農業や照葉樹林の町として全国的に有名な綾町でも、役場における紙・ごみ・エネルギーの抑制といった足下の環境配慮が不十分であったが、これで名実ともに環境自治体としての第一歩を踏み出したといえるだろう。

2005年4月27日

今日は独自目標の監査のために綾町を訪れる。羽田10:00発SNA便で11:45宮崎空港着。綾行きの直通バスは12:40発で時間があるので、宮交バスターミナルまで行き、12:40発綾待合所行きに乗り継いで、13:30ごろ綾待合所に着いた。役場向かいの食堂で肉うどんを食べて14:00前に役場に入った。
役場3階の会議室には、既に5名の町民監査員の皆さんが集まっていた。課長のMさんが少し遅れて集まり会合が始まる。まずLAS-E担当で企画財政課のTさんから平成16年度の独自目標の達成状況について説明を受ける。廃棄物の量などLAS-E取り組み以前の実績が不明で評価できない項目もあったが、16項目中未達成は3項目だけだった。その後質疑応答が行われ、目標を達成できなかった廃棄物資源化率と施設のガソリン・軽油消費量について、補足説明を受ける。町民監査員の皆さんに一言ずつコメントいただいた結果は、以下のとおりである。
KZさん:去年の監査のあと、取り組みがどうなっているかと思っていたが、やっていたのがわかった。夜、役場の電気が消えているのがみられるようになったが、残業を減らした効果が出ているのだろう。去年の監査の後から家でも電気・ガスなど気をつけるようになり、婦人会でも呼び掛けている。
NKさん:リサイクルももう少し徹底すればもっとできるだろう。夏に公用車のエンジンをかけっぱなしで車を離れているのもみかける。17年度はしっかり目標を立てて減らして欲しい。
Oさん:本庁舎でも施設でもがんばっているなあと思った。まだ始めたばかりなので、徹底すれば、もっと素晴らしい数字があがるだろう。
NTさん:短い期間でよくここまでできたと思う。みんなが役場を見ているので、お手本を示されると、家や企業でもやろうという気になる。町をあげて取り組んでいったら素晴らしいと思う。
Mさん:出先でももう少し気をつければもっとできるだろう。去年の監査のあと、家庭でも環境のことを話す機会が増えた。
監査の所見をまとめるところまで1時間。残り1時間は目標設定委員会で、平成17年度の目標値について検討した。項目を1つ1つ検討していったが、ほとんどの項目で平成16年度実績よりもさらに削減するという目標案が町民監査員と役場サイドの双方から出て、目標値はすんなりと決まっていった。最後に残ったのは町民に関係する唯一の目標である、ごみの減量・分別である。これはこれまでは定性的な表現で数値目標がなかった。この点についてどうしますか、と水を向けると、「燃えるごみの収集量を10%減らす」「資源化率を25%にする」という数値目標を設定することになった。数値は町民の方が提案したものである。綾町では従来からの生ごみに加え、その他プラの分別収集も始めているから条件は整っているが、町民全体で努力してこの目標を達成しようということになったのは素晴らしい。
会議後、M課長は役場の残業を減らした努力を町民の方が取り上げられたことを持ち出して「見てる人はちゃんと見てくれているんだなあ」と感慨深げだった。ほんものセンターで17:00前に自転車を借り、今日の宿泊場所である綾川荘手前のサイクリングターミナルで乗り捨てた。

2005年4月28日
今日は午前中、レンタサイクルに乗って有機農業開発センターを訪れて、昨年行った農家ヒアリングをもとに算出した野菜品目別農作業別燃料消費量の推計結果を報告に行った。農作業の部分だけ見ると有機農業のほうが10倍程度燃料を使っているが、肥料や農薬製造の部分を含めると、有機農業のほうが4割エネルギー消費が少ないという結果になった。各品目の特徴や推計方法などについてM所長からいろいろアドバイスをもらった。
 午後からは自転車で綾川荘に戻って夜の会合の補足資料づくりをした。窓を開けていると、ウグイスの鳴き声や木の葉のざわめき、それにルルルルルという鳴き声(これは後でNさんに教えてもらったのだがカジカだそうだ)がして心地よかった。
 16:30に再び綾川荘を出て、ほんものセンターで自転車を乗り捨てる。時間があるので、できたばかりの図書館「照葉(でるは)」で時間をつぶした(写真)。
 
 19:30から女性の集いの会合で、省エネルギーセンターが作成したパンフレットなどをもとに、食の省エネ調査の結果の報告をした。19人の方々が集まった。ひとりひとりの感想は以下の通りである。
・エネルギーのことについて再認識させられた。
・農協ではスタンプ20個で100円還元してくれる。買い物袋を持って行くのをもっと考えたい
・ごはんは熱いうちに冷凍したほうがおいしいと思って冷まさずに入れてしまう。ポット24時間スイッチ入れっぱなしなのが捨てきれない。EMぼかしで野菜作りをやっている。
・買い物袋をつい忘れてきてレジ袋をもらってしまうのが反省点だ。人にものをあげるとき袋が必要だが、考え直したい。
・食べ物を生産するのにこれだけのエネルギーを使っている。食べ物を生産するものとしてこの数字にはえーっと驚いた。
・私はほとんど買い物袋を持って行く。2人ぐらしなので、電子ジャーは保温にしている場合が多い。牛乳びん何本分というデータが出てくると、なるほどなあ、と思う。
・後片づけのとき、ちょっと熱めにして湯沸かしを使っている。だいぶ無駄にしていたなあと思った。これからは温度を下げようと思う。
・うちはジャーもポットもない。鍋でご飯を炊いて、残ったら冷まして冷蔵庫に入れて電子レンジでチンするようにしている。テレビがついていないと何か寂しいので、それでプラスマイナスゼロになっていると思う。
・炊飯ジャーはつけっぱなしにしている。これからはみんなが少しずつエネルギーのダイエットをしていければと思う。
・トレイが増えていっているような気がする。自分たちで環境を壊しているようで怖い。
・私は買い物袋をいつも持って行くので、逆にレジ袋が欲しいときがある。冷蔵庫は買い換えた。
・食器洗い乾燥機が手洗いより省エネなのは再発見だった。ほうれん草の下ごしらえをしたほうが省エネなのは初めて知った。
・省エネをいろいろ工夫している。しかしまだ使える冷蔵庫やエアコンを買い換えていいものか疑問だ。
・以前地球環境の話を聞いて、企業や町民で生活を見直していかなければと思った。町内のお店にも働きかけができたらいいと思った。
・私も6~7年前に地球環境の話を聞いて、便利な生活に慣れきっているのを改め、できることから始めようと思った。子供が独立して一人暮らしで節約を覚え、お母さん、冬は冷蔵庫の温度を変えたほうがいいよと言ってくれた。
・買い物は自転車で買い物袋を持って行っている。ごはんは電子レンジのほうが省エネなので一食分ラップにくるんでおいて電子レンジで温めるようにしている。夫は炊きたてが食べたそうだが我慢してもらっている。
・いただきものををよくもらうので、その面では綾に住んでいて良かったなあと思う。EMぼかしもやっている。畑の土も軟らかくなって野菜も甘くおいしいのができる。
・地域の座談会で去年省エネを呼び掛けて回った。電子レンジのことはいいことを聞いた。
M課長:冷蔵庫の省エネ性能が大きく違うのに驚いた。我が家の大蔵大臣としては倍の値段でも省エネタイプを買いたい。町民生活課にいたとき年間100台の廃冷蔵庫が出ていたので、およそ20年に1回買い換えていることになる。町民みんなが省エネ性能の高いものを買ってもらうと良いと思う。
社会教育指導員のY先生:8月に女性の集いがあるので、綾町での取り組みの課題は何か、2枚ぐらいにまとめて欲しい。
 省エネセンターのパンフレットが良くできていたので、みなさん思いを新たにしたようだった。会合が終わり、町民監査員のOさんとNさんに綾川荘まで送ってもらった。

2005年4月29日
 朝9:30、綾川荘に隣接するサイクリングターミナルで三度目の自転車を借りた。初日にほんものセンターで借りた自転車がまだ残っており、乗りにくい自転車だったが戻す手間をかけるのは忍びないので、来たのと同じ自転車にのってほんものセンターで乗り捨てた。
今日は待望の肥薩線経由で熊本に抜ける予定なので、車内での昼食用にほんものセンターで弁当を購入。休日なので弁当の種類も豊富であったが、山菜おこわ弁当を買った。レジ袋を断っていると、後ろから「中口先生!」と声がしたので振り返ると昨日の夜の会合に出席してくださった方だった。誰がどこで見ているかわからないから環境に優しい行動を常に取らなければと思いを新たにする。綾待合所10:10発宮崎駅行きバスで11:20宮崎駅着。11:51発鹿児島中央行き特急きりしま13号に乗車。車内で食べた山菜おこわ弁当は、新潟の浦川原で食べたものに勝るとも劣らない美味だった。

宮崎県綾町訪問記
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